SHINOMIYA Laboratory

研究プロジェクト

自然環境モニタリングシステム

 自然環境下において水質や土壌試料中の複数項目を測定できるヘテロコア光ファイバ化学センサを開発し、光通信ネットワークにこのセンサを挿入することにより、情報伝達機能と計測機能をダイレクトに融合させた遠隔地モニタリングシステムの構築を目指しています。近年、水・大気の汚染や様々な気象変動による土壌などの環境の悪化が、植物の生態系に深刻な影響を与えています。生態系を持続可能な状態に維持するためには自然環境のリアルタイムモニタリングが必要不可欠です。しかし、現状で行なわれている遠隔地での採取調査は測定間隔が長くなるため、自然状態のリアルタイル計測は行なわれていない、一方、既存の電気センサは多項目同時計測とネットワークへの組み込みが困難であるため、広領域モニタリングには不向きです。本テーマでは、特に自然環境下において水質や土壌試料中の界面活性剤と湿度を遠隔地で測定できるシステムの構築を目指しており、光通信による情報伝達機能と計測機能を融合させた新しい技術を開発しています。

自律分散ネットワーク

 情報通信ネットワークにおける局所的な制御を実現させるために、ループ構造に着目した分散アルゴリズムの開発を進めています。ネットワークトポロジの木構造によって一元的に定まるループの集合を基本タイセット系といい、ネットワーク上の各ノードが所属する基本タイセットを自律的に把握することによって、障害復旧やトラフィック制御等を局所的かつ効率的に実現できると考えています。さらに、開発した自律分散制御を、次世代スマートグリッド(送電ネットワーク)へ応用しようと考えています。

光知覚神経センサネットワーク

 ユビキタスセンサネットワークの研究の一環として、歪み、圧力、振動、温度などの環境情報を取得することができ、実用的観点からの評価が高いヘテロコア光ファイバセンサを用いて高速な通信ネットワークを構築し、通信の信頼性や品質を確保できる設計、制御、運用管理の手法を研究しています。特に一般家庭やオフィス、大学キャンパスなどにおける空間モニタリングへの適用を想定し、ヘテロコア光ファイバセンサを用いて、通信とセンシング両方の機能を兼ね備えた“光知覚神経ネットワーク”を開発しています。この光知覚神経ネットワークが実現できれば、センサネットワークとしての役割はもちろん、通常のLANとしても利用することが可能となります。

高速大容量光ネットワーク

 富士通研究所との共同研究として、高速大容量のWDM(Wavelength Division Multiplexing)ネットワークを効率良く設計するアルゴリズムの研究および設計ソフトウェア開発を進めています。WDM技術により光ネットワークの大容量化と長距離化が進んでいる一方で、システムを構成している通信機器は非常に高価であるため、コスト効率の良いアーキテクチャが要求されています。本テーマでは、広域な光ネットワークを対象に、光信号劣化度の累積値に着目し、最小コストの機器配置問題を解決する様々な手法を開発しています。

省電力マルチホップ無線ネットワーク

 システム内において、バッテリー切れによる端末寿命に影響する消費電力の問題や、中継ノードの移動と無線リンクの不安定さによる通信経路の信頼性とのトレードオフ問題に取り組んでいます。ネットワーク内の経路信頼性をグラフ理論の連結度として定義し、連結度をある閾値以上に保ちつつ、伝搬範囲から求まる消費電力を最小化するアルゴリズムの開発を進めています。各ノードの伝搬範囲を不均一に調整し、総送信電力を最小化するシミュレーション実験を行い、最低連結度が変化しない範囲内で、比較的連結度の高いノードの消費電力を減少させることにより、総消費電力を効果的に低減させることができます。